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1 日本ファシリティマネジメント推進協会会長鵜沢昌和氏――施設管理(この人と5分間)
2000/10/26 日経産業新聞 P.26

 ――国際ファシリティマネジメント協会(IFMA)の会長賞を受賞しましたね。

 「大学で経営学と情報工学を扱っていたのが縁でファシリティマネジメント(FM)を経営や情報化の問題ととらえていた建設省のFM委員会の委員長になりました。FM専門家の資格試験でIFMAとの相互認証も実現するなど、同委員会から生まれた当協会の活動が評価された結果と受け止めています」

 ――日本のFMの状況をどう見ますか。

 「施設費は人件費に次ぐコストで、欧米でFMは経営の常識以前の常識です。日本の経営者は人員のリストラには熱心でも施設にはあまり手をつけません。日本はただでさえ土地高ですからFMは宝の山ですが、このままでは施設費で世界一の高コスト国として取り残されます。FMの恩恵は企業に限りません。ある市立病院では赤字経営がFMで黒字化しました」

 ――現在の企業会計では施設費を一元的に捕そくできないことも関心が薄い原因ではないですか。

 「米国などでは施設費の管理基準やマニュアルが会計基準の下位ルールとして普及しています。企業も団体もこのルールで簡単に施設費を計算して管理ができ、客観的な比較もできます。当協会も通産省の支援で、今年中に施設費の会計基準案をまとめます」

 ◇ うざわ・まさかず=32年東京商科大卒、33年海軍主計大尉、46年ブリヂストン入社、68年青山学院大教授、83年同学長、88年同名誉教授。87年から現職。81歳。